【アトピー治療に大切なこと】患者さんの自然治癒力を最大限に開花させる!
こんにちは。
皮膚科医 山本綾子です。
私が、いつもアトピー治療の際に、
念頭においていることがあります。
それは、
「患者さんの自然治癒力を最大限に開花させる」
ということ。
まず一つ、知っていただきたいのですが、
少し前まで、皮膚科における傷の治療では、
消毒するというのが”常識”でした。
しかし現在では、傷の「治ろうとする力」を
邪魔しないように、消毒はできるだけしないで、
水道水で洗うことを基本としています。
それはなぜでしょうか?
消毒することで、正常な組織を痛めつける
だけでなく、傷の「治ろうとする力」を
弱めてしまうからです。
(勿論、明らかに感染しているときは、
菌を殺すような薬を使います。)
つまり、「身体が持っている自然治癒力
(治ろうとする力)」を最大限に活かすために、
それを邪魔するようなこと(消毒など)を排除し、
治るための環境を整えてあげることが治療なのです。
これは、皮膚科の”常識”自体が、
変わってしまったとも言えますよね。
実は、私が目標とするアトピー治療も同じです。
「自然治癒力」を最大限発揮できるように、
その力を邪魔させないように、
環境を整えてあげるのです。
それは、決して何かを塗ったり、
飲んだりということではなく、
また何らかの施術を受けることでもなく、
「人間本来の力を最大限開花させるために、
身体にもっとも負担の少ない
身体の使い方をしてゆく」ということ。
姿勢、呼吸、歩き方という、
当たり前に毎日行っていることを、
「身体が治癒しやすい方向」にしてゆくだけ。
何気なくやっている”身体のクセ”が
実は、自然治癒を「妨げていた」事実を知り、
その問題の身体のクセをやめて、
負担の少ない身体の使い方に変えてゆくだけ。
ただし傷の治療において、
明らかに感染しているときには、
消毒や抗生剤を使います。
それと同じように、アトピー治療でも、
「明らかに日常生活に支障を来たしているとき」や、
「自然治癒を待っていては、
あまりに時間がかかりすぎるとき」には、
ステロイドの外用剤を使うことはあります。
それでも、本来すべきことは、
「身体が持っている自然治癒力を
最大限に開花させる」ことなのです。
あなたの治療は、きちんと、
自然治癒を邪魔させないように、
環境を整えていますか?
作物を育てるとき、与える水や
肥料のことだけを考えていてもダメです。
作物が育つ「土壌」の状態を考える
必要がありますよね?
土がカチカチだったり、水はけが悪すぎたら、
作物は育ちません。
アトピー治療でも、食事内容ばかり
考えていても、作物に与える水や
肥料しか考えていないのと同じです。
土壌の状態を考えるように、
アトピー治療でも、
「身体の状態」を整えるのです。
血流やリンパ流、筋肉、骨の状態まで
全部考えることが、
「自然治癒しやすい環境作り」なのです。
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